週に“食べない日”がある若者が48.2%。孤立する若者のSOSを受け止める「ユキサキチャット」

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2025年11月7日、東京商工会議所 Hall & Conference Room にて、認定NPOカンファレンス「ignite!」が開催されました。
「社会課題解決をあきらめない」という思いを胸に、全国の認定NPOのリーダーたちが集い、活動の未来や組織のあり方を見つめ直す場として、さまざまな学びや対話が交わされました。
 
なかでも会場が大きな熱気に包まれたのが、団体のビジョンや挑戦をまっすぐに伝えるピッチコンテストです。
この記事では、認定NPO法人D×P・今井紀明さん のピッチをご紹介します。
登壇者情報
今井 紀明
認定NPO法人D×P
理事長
 
紛争地域だったイラクへ渡航した際、現地の武装勢力に人質として拘束され、帰国後「自己責任」の言葉のもと日本社会から大きなバッシングを受ける。結果、対人恐怖症になるも、大学進学後友人らに支えられ復帰。親や先生から否定された経験を持つ10代と自身のバッシングされた経験が重なり、2012年にNPO法人D×Pを設立。経済困窮、家庭事情などで孤立しやすいユース世代(13歳~25歳)が頼れる先をつくるべく活動している。

みなさん、こんにちは。認定NPO法人D×Pの今井と申します。
 
今日は、子ども・若者たちが置かれている現実と、そこから見える危機感についてお話しします。
 
私たちは「ユキサキチャット」というLINEを活用したオンライン相談サービスを運営していますが、そこには全国から切実なSOSが寄せられています。
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「親に奨学金を使い込まれています」
「バイト代を親に全部取られています」
「ガスと電気を止められました」
 
国立大学に通う学生からも、一人暮らしを余儀なくされた高校生からも、日々、深刻な相談が届きます。
 
現在、ユキサキチャットには13〜25歳の若者が約19,000人登録しています。全国のどこからでも相談でき、就職や卒業に至るまで、継続的にサポートを続けています。
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「週に何も食べない日がありますか?」48.2%が「ある」と答えた現実

コロナ禍以降、物価上昇も重なり、食糧が手に入らない若者が急増しました。
 
私たちがユキサキチャットの相談者に
「週に何も食べない日がありますか?」
とアンケートをとったところ、48.2%が「ある」と回答しました。
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国の福祉窓口ではオンライン相談が十分に整備されていないため、支援が届かない若者の声が、D×Pに集中している状況があります。
 
そこで私たちは、銀行からの借り入れも行いながら、食糧支援と現金給付を行っています。
1回8万円の給付、3カ月・半年・1年の食糧支援など、状況に応じた継続支援を実施。卒業までの支えが必要な若者もいます。
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36万食を超える食糧支援。一人ひとりに合わせてカスタマイズする

大阪にはD×Pの食糧倉庫があります。
1箱30食、米2キロを基本にしながら、若者の事情に合わせて中身を変えています。
 
たとえば、
・自炊できない子には、お湯だけで調理できるセット
・女性が7割を占めるため、生理用品
・調理器具がない子には“火を使わない食品セット”
 
その子に「頼れて良かった」という経験をつくるため、細かくカスタマイズして詰めています。
 
その結果、食糧支援は累計36万食を突破し、現金給付も1.08億円に達しました。過去最多のペースで支援の依頼が増えています。
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「除籍されそうです」「家賃を滞納しています」ユキサキチャットに届いた若者の声

具体的にどんな若者が相談してきているのか。
冒頭で触れた国立大学生のケースを紹介します。
 
その子は、
・家賃もガス代も滞納
・学費も払えず除籍の不安
・奨学金は親に使い込まれている
・仕送りゼロ
・月10万円のアルバイト収入があったが、事故で働けなくなった
 
という状況でした。
私たちは現金給付と食糧支援を行い、生活を立て直しながら奨学金の継続手続きにも伴走しました。
 
今、その子はパソコンの寄贈を受け、
「これから国際社会に貢献できるようにします」
と前向きな言葉をくれています。
 
ほかにも、D×Pの支援を受け、看護師となって寄付者になった若者もいます。
月額寄付のサポーターになり、次の世代を支える側に回る子もいます。
 
アンケートでは、給付を受けた若者の88%が「状況がよくなった」と回答しています。
学業継続に至った割合は約4割。就職につながった若者、制度につながれた若者もいます。
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「自己責任」──あのとき受けたバッシングが、若者を支える原点になった

なぜ私がNPOを立ち上げたのか。
その理由は、自分自身の経験にあります。
 
2004年、私はイラクの人質事件で拘束された3人のうちの1人でした。
帰国後は「自己責任だ」と激しいバッシングを受け、路上で殴られることもありました。
顔を覚えられ、罵声を浴び、
「目がキモい」
そんな手紙まで届きました。
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対人恐怖症、PTSD、うつ病。
約5年間、社会とのつながりを失いました。
 
それでも、多くの人の支えがあり、ようやく社会復帰し、商社に就職しました。
しかし、この“運が良かった”という経験を自分一人で終わらせたくなかった。
 
「孤立している10代を支えたい」
その思いで起業し、D×Pは気づけば14期目。
社員29人、ボランティア含め40人以上の組織になりました。
これまでに関わった若者は17,800人にのぼります。
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届けられているのは、まだ“1%”

ユキサキチャットの登録者は19,000人ですが、13〜25歳で支援が必要な若者は、全国に約300万人いると推計しています。
私たちが届けられているのは、まだ0.6%ほど。
わずか1%にも届いていません。
 
月額寄付サポーターは3,564人、法人は170社。
多くの方に支えていただき、国や大阪市との連携も進んできました。
 
それでも、まだ足りません。
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「食事は一日一回」「親に頼れない」そんな若者が希望を持てる社会をつくりたい

今、日本には食事を十分にとれない若者、親に頼れず一人暮らしを強いられる高校生、奨学金を使い込まれる学生がいます。
 
「どうせ誰も助けてくれない」
そう思ってしまう10代が、確かに存在します。
 
でも、民間から新しいセーフティーネットをつくることはできます。
寄付や企業の力を借りながら、制度につなぎながら、
一人ひとりが希望を持てる未来に近づけることができます。
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支援が届かない現実があるなら、届く仕組みをつくればいい。
 
できていないからこそ、一緒にやりたい。
若者たちのSOSを聞ける社会を、みなさんとともにつくっていきたいと思っています。
 
ありがとうございました。