挑戦には“土台”が必要だ。子どもの声が社会を動かした──Learning for All の現場から

e5d67599bbb698e0cb7ec7a0713419e2-1769743770.jpg
2025年11月7日、東京商工会議所 Hall & Conference Room にて、認定NPOカンファレンス「ignite!」が開催されました。
「社会課題解決をあきらめない」という思いを胸に、全国の認定NPOのリーダーたちが集い、活動の未来や組織のあり方を見つめ直す場として、さまざまな学びや対話が交わされました。
 
なかでも会場が大きな熱気に包まれたのが、団体のビジョンや挑戦をまっすぐに伝えるピッチコンテストです。
この記事では、認定NPO法人 Learning for All ・石神駿一さんのピッチをご紹介します。
登壇者情報
石神 駿一
認定NPO法人 Learning for All 
副代表理事
 
株式会社電通にて4年半勤務。メディアバイイング、メディア開発、企業のCIVI開発などに従事。
2014年よりLearning for All に参画。広報、資金調達、ブランディング領域を担当。
日本人全員が子どもの貧困解決に関わることが「当たり前」になる世の中を目指し、日々仲間集めに奔走。
「子どもの貧困について」、「NPOの資金調達について」などの講演実績多数。

Learning for All の石神と申します。まず自己紹介からさせてください。
 
私は受験期に抱えていたモヤモヤがきっかけで、教師を目指していました。
さまざまな世界で活躍する大人の姿を紹介できる、そんな教師になれたらいいなと思っていました。
5fb6b9fb09f1795dc718ea6dcb234c98-1769743804.png
でも、いきなり教師になるのではなく、まずは社会を知り、人とのつながりを広げたい。
そう考えて、新卒では電通に入り、そこで4年半働きました。
1a8f685c15feef92820538fea13ff231-1769743976.png
その後、Learning for All に入職するのですが、私にとって大きなターニングポイントがありました。
 
代表の李との出会いです。

「忘れられる存在になりたい」その言葉に衝撃を受けた

初めて李に会ったとき、彼はこう言いました。
「子どもたちに忘れられる存在になりたい。」
715e45bfa498ec4248d34f466a366e39-1769744041.png
Learning for All は、経済的困窮、不登校、発達障害など、さまざまな課題を抱える子どもたちに、学習支援・居場所づくり・食事支援などを行っています。
 
その子どもたちに「ありがとう」と言われる存在ではなく、支援を“当たり前に受け取っていい”社会をつくりたい。そのために活動しているんだ、と。
 
その言葉を聞いた瞬間、私は衝撃を受けました。
自分が思い描いていた“教師像”は、どこまでも自分の視点のものでした。
李が語ったのは、徹底的な子ども目線の世界観でした。
 
私はその想いに惚れ込み、Learning for All への転職を決めました。
1b65d98f3c4a2af27230ed9dbb91419e-1769744063.png

現場に出会い、“当たり前が奪われている子どもたち”の存在を知る

Learning for All に入り、私は多くの子どもたちに出会いました。
サラリーマン時代には想像できなかった環境で暮らす子たちがたくさんいました。
 
みなさんは、給食を吐いてしまう子に出会ったことがありますか?
316a76dd607f18f9361ef29bc395b2bb-1769744094.png
小学校に入学するまで、家庭で作られた温かいご飯を食べた経験がない。
初めて給食の温かい肉や魚を口にしたとき、体が受け付けず吐いてしまう。
そんな子が、本当に存在していました。
 
こうした“当たり前”が欠けている状況で、「もっと挑戦させよう」「挑戦の場を増やそう」とよく言われます。
もちろん、挑戦は大切なことです。
 
けれど、挑戦するには、そもそも挑戦できる“土台”が必要なんです。
私たちはそのことを、子どもたちから教わり続けています。
f508b5059efcee6e9724be365a2a9c7f-1769744119.png

徹底した実践から、事業をモデル化し、政策提言へ

Learning for All は、学習支援・居場所づくり・食事支援・訪問支援・保護者支援など、目の前の子どもたちに向き合いながら事業を展開してきました。

13f7730993133e2e8bc6a2152e6e1707-1769744168.png

現場での実践をもとに事業をモデル化し、中間支援を通して全国に広げ、さらに政策提言による仕組み化まで行っています。

90d6889dffcc389de93185b50f54c3cc-1769744188.png

その象徴となる出来事がありました。

「大臣、ちょっと聞いてよ!」S君の一言が、国を動かした

私たちの居場所拠点に通っていた、高校2年生の S君。
年の離れた妹が3人いて、学校にはあまり通えていない子どもでした。
居場所拠点に来ると、帰るまでずっとしゃべっているような子どもです。
 
ある日、厚生労働大臣が居場所拠点に視察に来たとき、S君は大臣にまっすぐ向かって言いました。
576ecca397c25da99dcc09229979b5be-1769744229.png
「ねえ大臣、ちょっと聞いてよ!
俺、この場所めっちゃ好きなんだよ。
だけど家から遠くて、電車賃が420円かかるから、なかなか来れないんだ。
だからさ、こういう場所、もっと増やしてくれよ。」
3581079411d70cfd95b918ba98ce1cf5-1769744297.png
この視察ののち、2024年度、私たちが行ってきた居場所づくり事業が法定事業化されました。
私は、子どもの言葉が、国が動くきっかけのひとつになったんだと感じました。
(改正児童福祉法・児童育成支援拠点事業)
6dba96da7c0e3861d4b0672824b6c681-1769744352.jpg
子どもの声を聞いて、社会のルールを変える。
そんな経験を、私たちは現場で繰り返してきています。

挑戦には土台が必要。そして、その土台を支える仲間がいる

Learning for All には、職員、学生ボランティア、保護者支援を担う仲間など、たくさんの“子どもに向き合う人”がいます。
彼らが全力で子どもに向き合う姿を、私は一番近くで見てきました。
b21b785631590bb85207ba13639acc0a-1769744453.png
だからこそ、私にはどうしても忘れられない悔しさがあります。
 
私は広報や資金調達を担当しています。
寄付のお願いに伺ったとき、
「物乞いみたいなことするな」
そんな言葉を何度も浴びたことがあります。
fafd01aac799e6355dfb28b045fce72c-1769744475.png
私は悔しくて、涙を流したこともありました。
 
私が何より悔しかったのは、私の説明で、Learning for All の意義も価値も、仲間の想いも伝えきれなかったこと。
6d977c6cc2885e481cd0b5b1da3a11eb-1769744503.png

その悔しさを、今も抱えながらここに立っています。

今日、この瞬間から、心にともった火を行動に変えていきましょう

みなさん、社会は変えられると思いますか?

d6668a3034f8d09da4d78d23603472d3-1769744588.png
少なくとも、今日この場に来ている皆さんは、「社会は変えられる」と信じているのではないでしょうか。
私もそう思います。
そして、私たちはこれまで仲間とともに社会を変えてきました。
 
職員も、学生ボランティアも、寄付者も、企業の皆さまも。
みんなで社会を変えていく。
その未来を、私たちは本気で信じています。
82c6dca13cd687ba57eb2481cc429eae-1769744650.png
Learning for All は、これからも社会を変え続けていきます。
ただ、まだまだ力が足りません。
242df3ca48f8b7b270e2fde2eada7a09-1769744693.png
どうか私たちといっしょに、社会を変えていきましょう。
今日、この瞬間から、心にともった火を行動に変えていきましょう。
 
ご清聴ありがとうございました。