こども食堂が1万カ所を超えた理由。「望まない孤立はなくせる」と信じて歩んだ道のり

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2025年11月7日、東京商工会議所 Hall & Conference Room にて、認定NPOカンファレンス「ignite!」が開催されました。
「社会課題解決をあきらめない」という思いを胸に、全国の認定NPOのリーダーたちが集い、活動の未来や組織のあり方を見つめ直す場として、さまざまな学びや対話が交わされました。
 
なかでも会場が大きな熱気に包まれたのが、団体のビジョンや挑戦をまっすぐに伝えるピッチコンテストです。
この記事では、特定非営利活動法人全国こども食堂支援センター・むすびえ、三島理恵さんのピッチをご紹介します。
登壇者情報
三島 理恵
特定非営利活動法人全国こども食堂支援センター・むすびえ
理事長 兼 広報ファンドレイジング部門ディレクター・人事ディレクター
 
寄付文化の醸成を目的として設立された日本ファンドレイジング協会創設メンバー。企業、NPO、行政、国際機関等の協働寄付キャンペーン「寄付月間-Giving December-」立ち上げ等に尽力。「困った時に助けてくれる人がいると思える社会の実現」に向けて活動する中でこども食堂と出会い、むすびえの立ち上げに参画。設立から広報ファンドレイジング責任者を務め、2022年に理事就任、2025年度より現職。

全国こども食堂支援センター・むすびえの三島です。
 
最初に、ひとつ質問をさせてください。
こども食堂について「知っている」という方は、どれくらいいらっしゃるでしょうか。
そして、その中で実際に足を運んだことがある方は、どれほどいらっしゃるでしょうか。
 
多くの場合、「知ってはいるけれど行ったことはない」という方が大半です。
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今日は、「望まない孤立はなくせる」という私の思いと、その理由、そして“共感と社会参加でそれを実現したい”という話をさせてください。

思いは渡って、人は共感で動く。寄付月間で学んだこと

むすびえを立ち上げる前、私は日本ファンドレイジング協会の事務局で働いていました。
そこで、ひとつの大きなプロジェクト「寄付月間」を立ち上げました。
 
東日本大震災のあと、企業、行政、国際機関の方から
「寄付文化を日本でも広げたい。一緒にキャンペーンができないか」
という声が届いたことがきっかけです。
 
バラバラではなく、一緒に「寄付文化をつくる」ことに挑戦したい。
予算があるわけではなかったので、啓発イベントを重ね、少しずつ発信を続けていきました。
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するとある日、アメリカから連絡が届きました。
ゲイツ財団からでした。
 
そこから朝日新聞社さん、新経済連盟さんも動いてくださり、初年度から大きなイベントを開催できました。
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このとき私は、
「思いは渡る。共感が連鎖すると、社会は動く」
ということを強烈に経験しました。

こども食堂が持つ“共感力”に出会った日

数年後、私はこども食堂に関わることになります。
きっかけは、こども食堂の保険加入のためのクラウドファンディングでした。
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正直に言うと、当時はクラウドファンディングが本当にうまくいくのか、不安がありました。
 
保険料は、場所にもよりますが、年間で1〜3万円ほどです。
ボランティアで運営されているところが多いので、10人いれば、一人1,000円ずつ出し合えば1年分がなんとかなる、という計算になります。
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だから、クラウドファンディングで社会に向けて発信したとき、
「保険料くらい、身近な人たちで出し合えばいいじゃないか」
そう思われてしまうのではないか、と毎日のように考えていました。
 
当時はこども食堂の認知度も今ほど高くありませんでしたし、共感がちゃんと届くのかどうか、本当に不安でした。
 
ところが、ふたを開けてみると、6,000人以上の方が応援してくださったのです。
その結果、希望するこども食堂に3年分の保険料を届けることができました。
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こども食堂が持つ“共感力”の強さに、本当に驚かされました。
 
子どもたちが笑顔でご飯を食べる姿。
おいしそうな料理。
農家さんの新鮮な野菜。
そうした発信を続けるうちに、共感の輪がどんどん広がり、応援が集まっていったのです。
 
この“共感力”が社会に広がれば、小さな支え合いが無数に存在する社会がつくれる。
そう考えて、こども食堂が当たり前になる社会をつくりたいと思うようになりました。
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コロナ禍で届いた悲鳴──そして4億円の支援

しかし、団体立ち上げから間もなく、コロナが訪れます。
こども食堂は、人が集まることを前提にした活動です。
全国の状況を知るため、緊急アンケートを実施しました。
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結果は、半数弱が活動停止。
半数以上は工夫をしながら活動継続。
 
けれど、「続けられないかもしれない」「感染症対策のお金が足りない」
そんな不安や悲鳴に近い声が全国から届きました。
 
私たちは必死で寄付を呼びかけました。
その結果、1年で4億円のご支援を現場に届けることができました。
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コロナ禍で多くの困難があったにもかかわらず、こども食堂の数は増え続け、昨年ついに1万カ所を超えました。

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これは、公立中学校の数を超える規模です。
 
背景には、少子高齢化、地域の過疎化、つながりの希薄化など、社会が抱える深刻な課題があります。
その中で、こども食堂はコミュニティベースのつながりを再構築する存在として必要とされるようになりました。
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むすびえは全国のこども食堂と手を取り合い、普及・啓発に取り組んでいます。

こども食堂に、行ってみませんか?

最後に、今日ここにいるみなさんに、お誘いをさせてください。
ぜひ、一度、こども食堂に行ってみていただきたいのです。
 
行ったことのある方は、別のこども食堂でも構いません。
まだの方は、どうか一度、足を運んでみてください。
 
子ども、そして支えるお父さん・お母さん、おじいちゃん・おばあちゃん。
いろいろな人の思いに触れることができます。
 
私たちが向き合っている“孤独をなくす”という課題は、一団体だけでは絶対に解決できません。
でも、今日ここにいるみなさんが一歩を踏み出してくださったら、
社会は必ず変えられると、私は確信しています。
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どうか、こども食堂に行ってみてください。
そして、このつながりの輪に加わってください。
 
ご清聴ありがとうございました。